AI記事の著作権とオリジナリティ|法的リスクを避ける基礎知識

目次

はじめに:AI記事作成がもたらす革新と潜む法的リスク

AIによる記事作成は、コンテンツマーケティングの現場に革命的な効率化をもたらしました。これまで数時間を要していた執筆作業がわずか数分で完了し、企業はかつてないスピードで情報発信を行うことが可能になっています。しかし、その輝かしい利便性の裏側には、著作権侵害やコンプライアンス違反といった、見過ごすことのできない法的なリスクが潜んでいます。

「AIが書いた記事が、知らないうちに他社の著作権を侵害していたら…」「万が一、訴訟に発展した場合、責任は誰が負うのか?」企業の法務・コンプライアンスご担当者様や、コンテンツマーケティングの責任者様であれば、このような懸念を一度は抱かれたことがあるのではないでしょうか。

この問題は、単なる担当者レベルの課題ではありません。ひとたび著作権侵害が発生すれば、損害賠償請求はもちろん、企業のブランドイメージや社会的信用を大きく損なう経営上の重大なリスクに直結します。AI活用のアクセルを踏み込みたい一方で、コンプライアンスというブレーキをどう踏むべきか、多くの企業がその判断に迷われているのが現状です。

本記事では、私たち株式会社アップラボがAI開発の最前線で培った知見に基づき、2026年1月現在の最新情報、特に文化庁が示す法解釈を基軸としながら、企業がAI記事作成における法的リスクを回避し、安全にその恩恵を享受するための基礎知識を体系的に解説します。AIライティングの全体像については、AIライティングとは?WordPress運用を劇的に変える自動化の仕組みで詳しく解説しておりますので、併せてご一読ください。

AIと著作権法の現在地:文化庁が示す2つのフェーズ

AIと著作権の関係を理解する上で、まず押さえるべきは、文化庁が示している「開発・学習段階」と「生成・利用段階」という2つのフェーズです。この区別こそが、なぜAIの学習行為は適法とされやすい一方で、私たちがAI生成物を利用する際には注意が必要なのかを理解する鍵となります。

この2つのフェーズで適用される法律の考え方が根本的に異なる点を理解することが、リスク管理の第一歩です。

AIと著作権法における2つのフェーズを比較した図解。開発・学習段階では著作権法第30条の4が適用され原則適法である一方、生成・利用段階では通常の著作権法が適用されることを示している。

【フェーズ1】開発・学習段階:原則適法とされる根拠(著作権法第30条の4)

AIが驚異的な能力を発揮できるのは、インターネット上に存在する膨大なテキストや画像データを「学習」しているからです。この学習行為は、既存の著作物をAIが読み込み、解析するプロセスを含みます。通常であれば、他人の著作物を無断で複製・利用する行為は著作権侵害にあたりますが、AIの学習段階においては、原則として適法と解釈されています。

その法的根拠となるのが、著作権法第30条の4です。この条文は、著作物に表現された思想又は感情の「享受を目的としない利用」、いわゆる「非享受目的利用」を認めています。AIの学習は、文章や画像を読んで感動したり楽しんだりするためではなく、あくまで情報解析やパターン抽出のために行われるため、この「非享受目的」に該当すると考えられています。

ただし、これは無制限に認められているわけではありません。「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は、この例外規定の対象外となります。例えば、海賊版サイトなど、著作権侵害が行われていると知りながら、そこからデータを収集してAIに学習させるようなケースは、適法とは認められない可能性が高いでしょう。

【フェーズ2】生成・利用段階:通常の著作権法が適用される理由

一方、AIが生成した記事をウェブサイトに公開したり、マーケティング資料として商用利用したりする「生成・利用段階」では、話が大きく変わります。このフェーズでは、もはや著作権法第30条の4の「非享受目的利用」は適用されません。

なぜなら、生成されたコンテンツを公開・利用する行為は、人間が書いた記事を公開するのと同じく、読者という第三者に思想や感情を伝え、「享受」させることを目的としているからです。そのため、AIが生成したものであっても、人間が創作した著作物と同様に、通常の著作権法のルールが適用されることになります。

つまり、もしAIが生成した記事が、既存の誰かの著作物と酷似していた場合、それは著作権侵害と判断されるリスクを負うことになります。ここが、企業がAIを利用する上で最も注意を払うべき、リスクの本丸と言えるでしょう。

参照:文化庁「AIと著作権について

AI記事は著作権侵害になるのか?判断の2大要件

では、具体的にどのような場合に、AIが生成した記事が著作権侵害と判断されるのでしょうか。裁判所などの司法の場では、主に「類似性」と「依拠性」という2つの要件が揃った場合に、著作権侵害が成立すると考えられています。

要件1「類似性」:アイデアや作風ではなく「創作的表現」が似ているか

「類似性」とは、AIが生成したコンテンツが、既存の著作物と似ているかどうかという点です。ここで重要なのは、著作権法が保護するのは「アイデア」ではなく「表現」であるという大原則です。

例えば、「AIの著作権リスクについて解説する」というアイデアや、「専門家が語るような硬い文体」といった作風(スタイル)が似ているだけでは、類似性があるとは言えません。著作権侵害となるのは、文章の具体的な言い回しや構成など、「表現上の本質的な特徴」が酷似している場合です。

偶然、短い定型的なフレーズが一致する程度では問題ありませんが、段落単位で文章が酷似している、あるいは独自の比喩表現や文章構成がそのまま流用されているといったケースでは、類似性が認められる可能性が高まります。

要件2「依拠性」:元ネタを知って利用したか

「依拠性」とは、既存の著作物を元にして創作したかどうか、という点です。たとえ結果的に似たような表現になったとしても、全く独自に創作したものであれば、著作権侵害にはなりません。

しかし、ここにAI利用特有の難しさがあります。AIの利用者は、特定の元ネタとなる記事を知らないかもしれません。しかし、AI自身は、その元ネタとなった記事を学習データとして読み込んでいる可能性があります。もしAIが学習データに基づいて記事を生成した場合、利用者の意図とは無関係に「依拠性」が認められてしまう恐れがあるのです。

つまり、利用者に悪意がなくても、結果として著作権侵害が成立してしまう。これこそが、AI記事作成における意図せぬ侵害リスクの最大の要因であり、企業が組織的な対策を講じなければならない理由です。

AI記事の法的リスクについて、企業の法務担当者とマーケティング担当者が真剣な表情でPC画面を確認している様子。

AI生成記事のオリジナリティと著作権の発生条件

リスクの話と同時に、企業担当者が抱くもう一つの大きな疑問は、「AIが生成した記事に、自社の著作権は発生するのか?」という点でしょう。時間とコストをかけて生み出したコンテンツが、誰でも自由に使える状態では、企業の知的資産にはなり得ません。ここでは、AI生成物の権利の帰属という重要なテーマを解説します。

原則:AIが自律的に生成しただけでは著作権は発生しない

現在の日本の著作権法における大原則として、AIが自律的に、自動で生成しただけの文章や画像には、著作権は発生しないと考えられています。なぜなら、著作権法第2条第1項第1号では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義しており、この創作活動の主体は「人間」であることが前提とされているからです。

AIはあくまで道具であり、思想や感情を持つ主体とは見なされません。そのため、プロンプトで簡単な指示を与えただけで、あとはAIが全自動で書き上げた記事は、法的には誰の著作物でもない「パブリックドメイン(公共の財産)」に近い状態となります。

ただし、AIが自律的に生成しただけで必ず著作権が発生するわけではなく、最終的な著作物性は人間の創作的寄与の有無など個別に判断されます。したがって、第三者による無断転載が直ちに許されるわけではなく、著作物性の有無や類似性・依拠性の有無に応じて権利行使が可能かどうかが判断されます。

例外:人間の「創作的寄与」が認められるケースとは?

では、AIを使って作成した記事を自社の著作物として保護するためには、どうすればよいのでしょうか。その鍵を握るのが、人間の「創作的寄与」です。

AIの生成プロセスや、生成された結果に対して、人間が創作的な意図をもって深く関与し、それが表現に現れていると認められれば、そのコンテンツは人間の著作物として保護される可能性があります。文化庁の見解などを参考にすると、以下のような行為が「創作的寄与」と評価される可能性を高めます。

  • 具体的かつ詳細なプロンプトによる指示:単に「〇〇について書いて」ではなく、記事の構成、文体、含めるべき要素、表現のニュアンスなどを細かく、創作的に指示する。このようなAIへの指示(プロンプト)の工夫が、オリジナリティの源泉となり得ます。
  • 複数回の試行錯誤と選択・判断:AIに何度も指示を出し、生成された複数の選択肢の中から、自身の創作意図に合致するものを取捨選択し、組み合わせる。
  • 生成後の大幅な加筆・修正:AIが生成した文章を単なる下書き(たたき台)として扱い、人間が独自の表現、事例、考察などを大幅に加えて完成させる。

要するに、AIを単なる「自動執筆機」としてではなく、人間の創作活動を補助する「高度な思考ツール」として使いこなし、最終的な表現に人間の創作意図が明確に反映されているかどうかが、著作物性の判断を分ける重要なポイントとなるのです。

万が一の際、誰が責任を負うのか?法人の責任範囲

AI記事によって著作権侵害が発生してしまった場合、その責任は最終的に誰が負うのでしょうか。この点は、企業のコンプライアンス体制を考える上で最も重要な論点です。結論から言えば、リスクはAIサービス提供者や担当者個人に留まらず、法人全体に及ぶ可能性があります。

原則は「利用者」:プロンプトを入力した者が責任を負う

文化庁の資料では、利用者の指示や行為が責任の判断で重要な要素となることが示されていますが、具体的な責任の所在は事案ごとに類似性・依拠性の有無や業務との関連性(例:民法715条の使用者責任等)を踏まえて判断されます。つまり、従業員が業務の一環としてAIを利用し、権利侵害となるコンテンツを生成・公開した場合、まずはその行為を行った従業員自身が、差止請求や損害賠償請求の相手方となる可能性があります。

法人の使用者責任と両罰規定のリスク

しかし、責任は従業員個人だけで完結しません。民法第715条には「使用者責任」が定められており、従業員が「その事業の執行について」他人に損害を与えた場合、雇用主である法人もまた、被害者に対して損害賠償責任を負うとされています。

従業員のAI利用が業務に関連するものである以上、会社が「従業員の監督を怠った」と判断され、使用者責任を問われる可能性は極めて高いと言えるでしょう。さらに、著作権法には「両罰規定」(第124条)が存在します。これは、法人の従業員が業務に関して著作権侵害などの違反行為をした場合、行為者である従業員を罰するだけでなく、その法人に対しても罰金刑を科すという規定です。

このように、民事上の損害賠償(使用者責任)と、刑事上の罰則(両罰規定)の両面から、法人は極めて重い責任を負うリスクがあるのです。これは、特に士業のWeb集客など、専門性と信頼性が事業の根幹をなす分野においては、致命的なダメージになりかねません。

AIサービス提供者の責任は限定的

「AIサービスを提供しているプラットフォーム側が責任を負ってくれるのではないか」と期待されるかもしれませんが、その可能性は低いと考えた方が賢明です。多くのAIサービスの利用規約では、「生成されたコンテンツに関する一切の責任は利用者が負う」といった趣旨の免責条項が設けられています。

AIはあくまで利用者の指示に従って動作する「道具」であり、その道具を使って生み出された結果責任は、原則として道具を使った人間(およびその雇用主)が負う、というのが基本的な考え方です。したがって、企業はプラットフォーム側の補償を当てにするのではなく、自社でリスクを管理し、回避するための体制を構築する「自衛策」が不可欠となります。

AIによる著作権侵害が発生した場合の責任の所在を示した図解。AI利用者、法人、AIサービス提供者のうち、特に法人が使用者責任と両罰規定により重い責任を負うことを示している。

著作権だけではない!企業が見落としがちな4つの法的リスク

AIコンテンツのリスクは著作権に限りません。コンプライアンスの観点からは、より広い視野で潜在的なリスクを把握しておく必要があります。ここでは、企業が見落としがちな4つの法的リスクについて解説します。

肖像権・パブリシティ権:実在の人物に似た画像の生成

AI画像生成機能で、特定の人物、特に著名人(俳優、スポーツ選手など)に酷似した画像を生成し、それを広告や商品紹介などに無断で使用した場合、肖像権やパブリシティ権の侵害に問われる可能性があります。肖像権は個人の人格を守る権利、パブリシティ権は著名人が持つ顧客誘引力という経済的価値を守る権利です。無断使用は、損害賠償請求の対象となる重大なリスクです。

商標権:AIが生成したロゴやサービス名の利用

AIに新しいサービス名やロゴデザインを考案させた場合、それが偶然、他社がすでに登録している商標と同一または類似してしまうリスクがあります。商標権は「知らなかった」では済まされない非常に強力な権利であり、もし侵害してしまった場合、サービスの名称変更やロゴの差し替え、損害賠償など、事業に大きな打撃を与える可能性があります。利用前には、必ず商標調査を行うことが不可欠です。

名誉毀損:ハルシネーションによる虚偽情報の拡散

AIは、事実に基づかないもっともらしい嘘の情報(ハルシネーション)を生成することがあります。このハルシネーションをファクトチェックせずにそのまま記事として公開し、特定の個人や企業の社会的評価を低下させるような内容が含まれていた場合、名誉毀損として損害賠償を請求されるリスクがあります。AIの出力は鵜呑みにせず、必ず人間の目による裏付け確認が必要です。具体的な対策については、AIライティングで「ハルシネーション(嘘)」を防ぐための運用ルールで詳しく解説しています。

不正競争防止法:著名な商品・キャラクターの模倣

商標登録はされていなくても、世の中に広く知られている商品デザイン、サービス名、キャラクターなどをAIで模倣し、自社のものと混同させるような形で利用した場合、不正競争防止法違反に問われる可能性があります。これは、他者が築き上げた信用や名声に「タダ乗り」する行為を防ぐための法律です。安易な模倣は避けるべきです。

【実践】法人がAI記事の法的リスクを回避するための5つの対策

これまで解説してきた様々なリスクを踏まえ、企業として具体的にどのような対策を講じるべきか、明日からでも着手できる5つのアクションプランを提示します。これらを実践することで、安全なAI活用体制を構築することが可能になります。

対策1:社内利用ガイドラインを策定・周知徹底する

従業員が個々の判断でAIを利用する状況は、最もリスクが高い状態です。まずは、全社で遵守すべき統一ルールとして「AI利用ガイドライン」を策定し、全従業員に周知徹底することが不可欠です。ガイドラインには、少なくとも以下の項目を盛り込むべきでしょう。

  • 利用を許可するAIツールの指定
  • 機密情報や個人情報など、入力してはならない情報の定義
  • 生成物の公開前に遵守すべきチェック体制と承認フロー
  • 著作権侵害が疑われる場合の報告・相談窓口の設置
  • 「創作的寄与」を高め、自社の著作物とするための具体的な推奨事項

対策2:著作権侵害リスクの低いAIサービスを選定する

全てのAIサービスが同じリスクを持つわけではありません。サービスを選定する際には、機能や価格だけでなく、コンプライアンスの観点からも評価することが重要です。例えば、どのようなデータで学習しているかの透明性が高いサービスや、万が一、生成物が著作権を侵害していた場合に、利用者を保護する補償制度を提供しているサービスを選ぶことで、リスクを低減できます。

対策3:公開前の「人間によるチェックフロー」を構築する

AIが生成したコンテンツを、そのままの状態で公開することは絶対に避けるべきです。必ず「人間の目」による最終確認プロセスを業務フローに組み込みましょう。

  • テキスト:剽窃チェックツール(CopyContentDetector®など)を活用し、他サイトのコンテンツとの類似度を客観的に確認する。
  • 画像:リバース画像検索(Google画像検索など)を使い、酷似した既存画像がないかを確認する。
  • ファクトチェック:固有名詞、統計データ、法律や制度に関する記述など、事実関係の裏付けを必ず行う。

対策4:生成プロセスを記録・保管する

万が一、第三者から権利侵害を主張された場合に、自社の正当性を証明するため、また、自社のコンテンツが著作物であることを主張するために、生成プロセスを記録・保管する運用を推奨します。どのようなプロンプトを使い、AIがどのような初期案を生成し、それに対して人間がどのように修正を加えて最終稿に至ったか、その過程を残しておくことが、将来の紛争に備える上で重要な証拠となり得ます。

対策5:専門家への相談体制を整える

AIと著作権を巡る法解釈は、まだ発展途上にあり、今後の裁判例の集積によって判断基準が変化していく可能性もあります。特に、事業の根幹に関わるような重要なコンテンツでの利用や、判断に迷うグレーなケースについては、自己判断で進めるのではなく、知的財産法に詳しい弁護士などの専門家に速やかに相談できる体制を社内に整えておくことが、最終的なリスクヘッジとして極めて重要です。

これらの対策を講じることで、SEO記事作成をAIに任せるメリットを安全に享受し、事業成長を加速させることができるでしょう。

まとめ:AIを「賢い道具」として使いこなし、安全なコンテンツ制作を

本記事では、AIで記事を作成する際に避けては通れない著作権やその他の法的リスクについて、文化庁の最新見解を交えながら、企業の担当者様が取るべき対策を網羅的に解説しました。

重要なポイントを改めて整理します。

  • AIの「学習段階」は原則適法だが、私たちがコンテンツを「利用する段階」では通常の著作権法が適用される。
  • AI生成物が著作権侵害となるかは「類似性」と「依拠性」で判断され、利用者に悪意がなくても侵害は成立しうる。
  • AIが自動生成しただけでは著作権は発生せず、資産化するには人間の「創作的寄与」が不可欠。
  • 万が一の際の責任は、従業員個人だけでなく、使用者責任や両罰規定により法人全体に及ぶ。

AIは、リスクを正しく理解し、適切な管理体制を構築しさえすれば、コンテンツ制作の生産性を飛躍的に向上させる、これ以上なく強力なツールです。法的リスクを過度に恐れてその活用をためらうのは、大きな機会損失に繋がりかねません。

本記事で得た知識を羅針盤とし、AIを単なる自動化の機械ではなく、人間の創造性を拡張する「賢い道具」として主体的に使いこなしていくこと。それこそが、これからの時代に企業が競争力を維持し、安全で質の高いコンテンツを生み出し続けるための鍵となるでしょう。

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