AI記事作成と法律|薬機法・景表法リスクを回避する対策

目次

AIでの記事作成が招く薬機法・景表法の落とし穴

AIライティングツールの進化は目覚ましく、美容ブログや健康に関する情報発信の効率を劇的に向上させました。しかし、その手軽さの裏には、見過ごすことのできない法的なリスクが潜んでいます。特に、読者の身体や健康に直接関わる美容・健康分野は、「薬機法」や「景品表示法(景表法)」による厳しい広告規制の対象となります。

「AIが生成した文章だから、客観的で安全だろう」
「最新のAIなら、法律も理解して書いているはず」

こうした期待は、残念ながら現状では通用しません。AIは平然と科学的根拠のない効果を断定したり、最新の法改正を無視した表現を生成したりすることがあります。その結果、意図せずして法律に抵触し、広告の停止、多額の課徴金、そして何より読者からの信頼失墜といった深刻な事態を招きかねないのです。

「効果を伝えたいのに、何が違反になるか分からなくて書けない…」多くのブロガーやアフィリエイターが抱えるこのジレンマに対し、本記事では明確な解決策を提示します。AIを単なる文章生成ツールとしてではなく、法規制を遵守し、読者から真に信頼されるコンテンツを生み出すための「賢いアシスタント」として活用するための具体的な手法を、専門家の視点から徹底解説します。

【基本のキ】薬機法・景表法の広告規制を再確認

AIが生成した文章の危険性を理解するためには、まず、その背景にある法律の基本的な考え方を知ることが不可欠です。薬機法と景表法は、どちらも消費者を守るために存在しますが、規制の目的と対象が異なります。なぜAIがこれらの法律に抵触しやすいのか、その根本原因を探っていきましょう。AIを活用したSEO戦略の全体像については、AI SEOの品質・リスク管理で体系的に解説していますので、併せてご覧ください。

薬機法:医薬品的な効果効能の標榜を禁止

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品や医療機器ではない製品、つまり化粧品や健康食品について、医薬品と誤解されるような効果効能をうたうこと(標榜)を厳しく禁じています。

例えば、化粧品に対して「シミが消える」「シワがなくなる」と表現したり、健康食品に「飲むだけで痩せる」「病気が治る」と書いたりすることはできません。これらは医薬品にのみ認められた表現であり、未承認の製品がこうした効果を標榜すると、消費者に誤った期待を与え、健康被害につながる恐れがあるためです。

AIは、この「化粧品」「医薬部外品」「健康食品」といったカテゴリごとの厳密なルールを理解せず、インターネット上のレビューや口コミ情報などから、平気で医薬品的な表現を生成してしまう傾向があります。そのため、人間による専門的なチェックが絶対に必要となるのです。

景品表示法:嘘や大げさな表現(優良誤認)を禁止

景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格などについて、消費者をだますような嘘や大げさな表示を禁止する法律です。特に問題となるのが「優良誤認表示」です。

これは、実際よりも著しく優れていると消費者に誤解させる表現のことで、AIが生成しやすい「No.1」「最高級」「日本初」といった最上級表現が典型例です。これらの表現を使用するには、客観的な調査に基づく合理的な根拠がなければなりません。

また、「このサプリを飲めば、誰でも簡単に10kg痩せられる」といった、効果を過剰にアピールする表現も、裏付けがなければ優良誤認に該当する可能性があります。薬機法上の表現をクリアしていても、景表法の観点から違反となるケースは少なくありません。両方の法律を常に意識することが、情報発信者には求められます。

(参考:消費者庁|景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?

知らないでは済まされない、違反した場合の重い代償

「少しぐらい大げさに書いてもバレないだろう」という考えは非常に危険です。薬機法や景表法に違反した場合、その代償は決して小さくありません。例えば薬機法では、虚偽・誇大広告(第66条)に対する課徴金制度が2021年8月1日から導入され、原則として「違反期間中の対象商品の売上額×4.5%」が課徴金額となります(一定の例外・減額規定あり)。

もし違反が発覚した場合、行政からの措置命令や業務改善命令が出され、広告の差し止めや修正を余儀なくされます。さらに、景表法違反(優良誤認・有利誤認)の場合、違反期間中の対象商品・サービスの売上額の3%(※)にあたる課徴金の納付が命じられる可能性があります。

※薬機法の場合は4.5%です。なお、算定率は原則として定率ですが、課徴金の免除基準(一定額未満)や、自主的な報告等による減額、同一事案で景表法の課徴金がある場合の控除など、制度上の例外・調整規定があります。

例えば、月100万円の売上があったアフィリエイト記事が、1年後に違反と判断されれば、単純計算で36万円(100万円×12ヶ月×3%)もの課徴金が課されるリスクがあるのです。これは法人だけでなく、個人のアフィリエイターも対象となります。

AI記事の景表法違反による課徴金リスクに頭を抱える女性

金銭的なペナルティ以上に深刻なのが、信用の失墜です。違反が公になれば、SNSでの炎上や読者離れにつながり、築き上げてきたブランドイメージは一瞬で崩れ去ります。コンプライアンス遵守は、もはや単なる義務ではなく、ビジネスを継続するための生命線と言えるでしょう。また、広告規制だけでなく、AI記事の著作権リスクに関するリスク管理も同時に行うことが重要です。

AI記事の法的リスクを回避する具体的な対策フロー

では、どうすればAIを安全に活用できるのでしょうか。重要なのは、AIを万能の書き手と過信せず、明確なワークフローに沿って人間の知見でコントロールすることです。ここでは、私たちが実践している3つのステップをご紹介します。

ステップ1:AIの弱点を理解し、指示(プロンプト)を工夫する

まず、AIが持つ根本的な弱点を理解することが第一歩です。AIは、特に以下の3つの点で法的リスクを生み出しやすい特性を持っています。

  1. 最新の法改正やガイドラインを反映できない
    AIの知識は特定の時点(知識カットオフ日)で止まっており、2025年、2026年の最新の法改正や行政指導の微妙なニュアンスを完全に理解しているわけではありません。
  2. 平気で嘘をつく(ハルシネーション)
    AIは、学習データにない情報や矛盾する情報を基に、もっともらしい嘘の情報を生成することがあります。
  3. 文脈を無視してNGワードを生成する
    インターネット上の様々な表現を学習しているため、広告としては不適切なNGワードを文脈に関係なく使用してしまうことがあります。

これらのリスクを低減するため、AIに記事作成を指示する段階で、明確な制約条件を与えることが有効です。例えば、AI記事作成のプロンプト例に「薬機法を遵守し、化粧品として認められた効能効果の範囲内で記述してください」「景表法に抵触する最上級表現や断定的な表現は使用しないでください」といった一文を加えるだけでも、生成される文章の安全性は大きく向上します。

ステップ2:生成された文章のファクト&リーガルチェック

AIが生成した文章は、必ず人間の目で二重にチェックする必要があります。この工程を怠ることが、最も大きなリスクにつながります。

1. ファクトチェック(事実確認)
成分の効果に関する記述や、引用されている統計データなどが正確かどうかを、公的機関のウェブサイト、信頼できる論文、公式サイトなどの一次情報と照合します。AIは時としてハルシネーション(もっともらしい嘘)を生成するため、この確認は不可欠です。

2. リーガルチェック(法的妥当性の確認)
次に、薬機法・景表法の観点から、違反の疑いがある表現がないかを確認します。後述する「OK・NG表現言い換え集」などを参考に、少しでも迷う表現があれば、より安全な言葉に置き換える判断が必要です。

私自身、クライアント様が善意で発信した情報の中に、意図せず薬機法に抵触する表現が含まれており、行政指導ののち広告停止処分を受けてしまったという苦いケースを目の当たりにしてきました。法律は「知らなかった」では決して許してはくれません。たとえ信頼できるAIツールやライターに依頼したとしても、最終的な責任は発信者自身にあります。必ずご自身の目で最終チェックを行うという意識が、何よりも重要なのです。

ステップ3:人の手で「伝わる表現」にリライトする

リーガルチェックを終えた文章は、法律的に安全かもしれませんが、同時に訴求力が失われ、読者にとって魅力のない無機質な文章になっている可能性があります。最後のステップは、人の手で「魂」を吹き込むリライト作業です。

単にNGワードをOKワードに置き換えるだけでは不十分です。例えば、「シミが消える」という直接的な表現が使えない代わりに、

  • 使用感を具体的に描写する
    「肌にすっと馴染む、みずみずしいテクスチャーで…」
  • 使用シーンを提案する
    「朝のメイク前に使うことで、一日中うるおいをキープし…」
  • 成分の客観的な事実を伝える
    「〇〇(成分名)は、メラニンの生成を抑える働きが報告されており…」

といったように、効果効能を直接うたわなくても、商品の魅力を間接的に伝える方法はいくらでもあります。AIが生成した骨格に、人間ならではの感性や体験を加えて文章を推敲することで、安全かつ読者の心に響くコンテンツが完成するのです。

AI記事作成の法的リスクを回避するための3ステップ対策フローを示す図解

【保存版】美容ブログで使える薬機法OK・NG表現言い換え集

ここでは、具体的な言い換え例をいくつかご紹介します。ご自身のブログ記事をチェックする際の参考にしてください。ただし、これらはあくまで一例であり、文脈によっては違反とみなされる可能性もあります。最終的な判断は慎重に行ってください。

化粧品編:「シミ・シワ・たるみ」の表現

テーマNG表現の例OKな言い換え表現の例解説
シミシミが消える、シミをなくすメラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ医薬部外品(美白有効成分配合)の場合にのみ使用可能な表現です。化粧品では「日やけによるシミ・そばかすを防ぐ」といった表現に留まります。
シワシワが改善する、シワがなくなる乾燥による小じわを目立たなくする効能評価試験済みの製品であれば使用可能です。「あらゆるシワ」ではなく「乾燥による小じわ」に限定することがポイントです。
たるみリフトアップ、たるみを引き上げる肌にハリを与える、肌を引き締める「リフトアップ」は身体の構造変化を暗示するためNGです。使用感や肌の状態変化(ハリ、弾力)を表現するに留めましょう。
化粧品の表現に関する言い換え例

健康食品編:「痩せる・デトックス」の表現

テーマNG表現の例OKな言い換え表現の例解説
ダイエット飲むだけで痩せる、脂肪を燃焼するダイエット中の栄養補給に、運動と併せて理想のボディメイクをサポート健康食品はあくまで食品であり、痩身効果を保証することはできません。あくまで補助的な役割であることを明確にする必要があります。
デトックス体内の毒素を排出、腸内洗浄毎日のスッキリをサポート、内側からキレイに「デトックス(解毒)」のように医学的な解毒効果を想起させる表示は、根拠がなければ景品表示法上の不当表示と判断されたり、医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされるおそれがあります。身体の変化を断定せず、体感や生活習慣のサポートといった範囲の表現に留めましょう。
健康食品の表現に関する言い換え例

まとめ:AIを賢く活用し、信頼される情報発信者を目指そう

AIによる記事作成は、時間とコストを大幅に削減できる革命的な技術です。しかし、その力を正しく導くのは、発信者であるあなた自身に他なりません。AIはあくまで強力な「アシスタント」であり、生成されたコンテンツの品質と法的な責任は、すべて発信者が負うということを決して忘れてはなりません。

薬機法や景表法は、表現の自由を縛るためのものではなく、消費者を守り、公正な市場を維持するための重要なルールです。そして、そのルールを守ることこそが、最終的に読者からの「信頼」を勝ち取るための最も確実な道筋となります。

本記事で解説した対策フローを実践し、AIの利便性を最大限に活かしながら、法的リスクを確実に管理してください。そうすることで、あなたは単なる情報発信者ではなく、読者から真に信頼される専門家として、価値あるコンテンツを提供し続けることができるでしょう。

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佐藤文俊 株式会社アップラボ 取締役 / OGAI開発責任者
ソフトウェアメーカーにて20年間にわたりシステム開発に従事し、最大100名規模のプロジェクトを統括するプレイングマネージャーとして活躍。 AI理論への深い造詣と、大規模システムを支える堅牢なアーキテクチャ設計能力、そして実装まで完遂する高い技術力が評価され、株式会社アップラボの取締役に就任。 サムライラボが持つ「士業専門のSEOノウハウ」と、自身の「高度なエンジニアリング技術」を融合させ、WordPress専用AIライティングツール「OGAI」を開発。AI時代の新サイト設計論「セマンティック・メッシュ・バイパスモデル」を提案し、AI活用の現場で実践。
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