弁護士が独立開業する際にかける費用は300〜500万円が多い印象を受けていますが,日弁連の若手法曹センターが発行している「即時・早期独立開業マニュアル」では自宅開業なら50万円,執務場所を自宅以外に求める場合は100〜300万円あれば開業は充分可能との案内があります。
※上記マニュアルは2012年のものですので少し古いですが開業資金自体は今も大きく変わらないでしょう。
私たちは開業前の段階から弁護士のホームページ制作をご依頼いただき,開業と同時にホームページを公開できるように準備するケースが非常に多く,独立開業の前後に予算がオーバーしたというようなお話も必然的に聞く機会が多いのでこのページでは開業の資金やオーバーしやすい予算について書きたいと思います。
このページの目次
テナント・ビルの選定
弁護士が開業する場合,法律事務所を構えるテナント・事務所の選定が基本的に必要になるかと思います。
最近では個室のあるレンタルオフィスや自宅開業の方も増加しており,法律相談のときだけ貸し会議室を借りて業務を行っているようなケースも増えています。
とはいえ,テナントや事務所を借りて開業する方のほうが多いのでテナントビル・事務所の選定の注意点などを書きたいと思います。
実際に予算が狂ってしまうケースが一番多いという話を聞きますので是非参考にしてみてください。
立地によっては賃料や保証金が高額になるケースも
一昔前までは,訴訟業務に備えて裁判所の近くに事務所を構えたり内容証明を送付するために郵便局の本局付近に事務所を構えることが多かったのですが,弁護士が増加し競争が激しくなるにつれて業務の効率ではなく,”集客のしやすさ”や”依頼人の交通至便”によって立地を選定する機会が多くなっています。
依頼人の交通至便を考えた立地に事務所を構える場合はどうしても賃料が割高になってしまうケースも多いため,立地選定の際はどんなことに重点をおくかを考えておくことを強くおすすめしています。
例えば,次のような点を考慮した方が良いと思います。
・賃料(ランニングコスト)
・敷金や保証金(初期費用)
・業務の効率(裁判所や郵便局近く)
・集客・マーケティングのしやすさ
・依頼者の交通至便
実際にご開業前からご相談を頂いているケースでよく生じている問題は,妥協点が明確になっておらず,あるいは,妥協ができずに大幅な予算をオーバーしてしまうケースもあるからです。
とくに敷金や保証金が当初の予算よりもオーバーしてしまったというケースはよく聞きますし,居抜き物件でさがしていたのに,スケルトン物件を契約してしまい内装工事に想定よりも時間がかかってしまい,工事期間中の賃料が無駄になってしまったというケースもあります。(もっとも,内装工事をする場合はフリーレント期間を通常よりも長くしてくれるケースも多いようです)
インターネット回線の工事期間を甘く見てしまい結局自宅で執務
インターネット回線の開通までの期間をあまくみてしまい,メールなどが利用できないことから開通までの間,結局自宅で執務したという話もよく聞きます。
インターネット開通までの期間は,地域や回線事業者(NTTやKDDIなど)によっても大きくことなるため個別の確認をおすすめしますが,既に建物内に回線が引かれている場合で開通が早くて5日程度,時間がかかる場合は3ヶ月以上かかることもあります。平均すると1ヶ月〜1ヶ月半程度かかることが多いと言われています。
テナントビル・事務所などによっても回線が既に引かれているかどうかが異なるため,入居前の内覧などの際にネット回線の状況を確認することを強くおすすめします。
予算がオーバーしそうになったときは
賃料,保証金・敷金などで予算がオーバーしそうになった場合は,迷わずレンタルオフィスなどを利用して費用を抑えることをおすすめします。
実際にレンタルオフィスで開業して半年〜1年程度でオフィスを移転するケースが多く,その間ゆっくり物件を探すことができると思います。
また,個人的には事務所の立地は集客やマーケティングの視点で考えた方が良いと思います。
※サムライラボではご開業前に立地の選定のサポートも行っています。競合事務所がどの程度脅威になり得るのかなどの情報も開示しています。
また,必要以上に内装や物件にこだわっても売上が大きく変わることはありませんのでお金をかけるところにも注意が必要だと思います。(内装にお金をかけすぎてしまい運転資金が少なくなってしまうケースは非常に多いです)
内装・什器の選定
居抜き物件であればデスクなどの什器程度で済むので中古やリースなどの活用すれば50万円前後程度で一通りのものは揃うと言われていますし,実際に私どものお客様の話を聞いていても30〜50万円前後で揃える型が多いようです。
※1人事務所で開業する場合です。2名で開業する方のお話では60万円前後が多いようです。
また,意外と予算が狂いやすいのは内装工事を伴う物件です。
内装工事をどこまで行うかにもよりますが,200〜250万円前後の方が多いと聞きます。
そしていい加減な業者に依頼してしまい工事完了が大幅に遅れたという話も耳にしますので注意が必要だと思います。
個人的には最初のオフィスは内装工事を必要としないような物件が理想的ではないかと思います。
事務機器の選定
弁護士が業務を遂行するうえで必要になる事務機器は以下のようなものがあるかと思います。
・パソコン
・複合機
・電話機
・FAX
上記は複雑ですので下記に分けて紹介したいと思います。
パソコン
パソコンは大きく分けると据置き型のデスクトップ型パソコンと持ち運びに適したノートパソコンがあります。
ノートパソコンを外出先でも事務所内でも使用するケースも多いと思いますが,外出先でも出張が多くなることが見込まれる場合は超時間の駆動するバッテリーを搭載したパソコンが必要になります。
士業の方はパナソニックのレッツノートを使用している方が非常に多いですが,レッツノートは他社パソコンと比べて高価なパソコンの部類に入りますが価格以上の価値があると思います。
(スペック面,バッテリー面,堅牢性全てにおいて素晴らしいと思います。私は今はMacがメインですが以前はレッツノートばかり選んでいました)
デスクトップをメインにしたり,サブ機として使うメリットもあります。
一番大きいなと感じるのはデュアルディスプレイ環境です。
みなさんも経験があると思いますが,資料をみながら資料を作成するような場面では,ウィンドウを小さくしたり大きくしたりすることも多いと思います。
この点デュアルディスプレイであれば資料を開いたまま資料を作成できるので効率が非常によくなります。
※デュアルディスプレイは奥が深いので別の記事でまた改めて紹介したいと思います。
また,以前は弁護士に限らず士業全体ではウィンドウズが主流でしたが最近はMacを使用している事務所も急激に増えています。これは業務用のソフトがクラウド化していることが理由の1つにあげられるようです。
複合機
コピー,スキャン,FAXなどを1台にまとめた複合機です。
コンビニにあるようなコピー機のようなものですね。
この複合機は新品で買うとかなり高額になりますので多くの方が中古やリースで安価なものを利用しています。
私は結構コスト意識が高いのですが,私以上にコスト意識の高い方が稀にいらっしゃるのですが,そういう方のお話を聞いているとびっくりするくらい安価に導入されている方がいらっしゃいます。
多くの方が新品のリースか中古で導入しているなか,ほぼ新品の中古をさらにリースをしたりするような方法をとられておりとても感心させられます。
また,最初は比較的コンパクトで安価なレーザープリンタを導入し,後から複合機を導入する方もいらっしゃいます。
電話機
電話機は家庭用電話機であれば1〜2万円程度でも導入可能ですが,ビジネスホンとなると結構高額なコストがかかります。そのうえ,事務所規模が拡大する際なども結構なコストがかかってしまいます。
そこで最近はクラウドPBX(クラウド型のビジネスホンだとお考えください)を利用する方が増えています。
このクラウドPBXはサービス提供会社によっても料金は異なりますが,口コミが良い会社のサービスでも月数千円程度でビジネスホンが導入でき,内線を増やす際も柔軟かつ容易に行えます。
さらに,クラウドPBXで利用している電話番号に着信した際に,事務所にあるビジネスホンで着信するのはもちろんですが,自宅やスマホなどでも着信することができとても便利です。(発信も可能です)
また,事務所を移転した場合も番号がそのまま利用できたり,提供会社によっては通話を自動で録音するサービスがあるので便利だと思います。
HP制作・名刺作成などのツール類
弁護士として開業する場合に必要なツール類を紹介したいと思います。
今の時代では必ず必要と言っても良いもののみ紹介しています。
弁護士のホームページ制作(事務所案内・集客目的)
弁護士の方は法律事務所を開設する際にホームページ制作を行うケースがほとんどです。
とはいえホームページとひと言でいっても大きく分けると2種類あります。
一つ目は,名刺代わりのホームページで集客を目的としないホームページ制作です。
二つ目は,集客を目的としたホームページ制作です。
前者の場合は,15万円〜30万円程度のケースが多く,ランニングコストはサーバーやドメインで5000円程度のことが多いです。
後者の集客を目的としたホームページ制作は60万円〜100万円程度と幅があります。ランニングコストは広告の有無などによっても異なりますが25000円〜というケースが多いです。
サムライラボではどちらの弁護士 ホームページ制作にも対応しています。
名刺作成
仕事をする上で必ず必要になるものの中には名刺があります。
名刺のコストはピンキリですが,一般的にしっかりしていると言われている紙質のものを使用しても2000〜4000円程度で100枚は印刷できます。※デザイン料は会社によって別途かかることがあります。
また,名刺を渡された人の印象にも影響しますので手作り感があるような名刺は避けた方が無難だと言えます。
封筒印刷
封筒にはサイズが異なるものがありますが,一般的によく利用されているのはA4がすっぽり入る角2封筒とA4を三つ折りにして入る長3封筒があります。この2種類の封筒は最低限揃えた方が良いでしょう。
この2種類の封筒を揃えてもカラーか白黒かによって変わりますがコストは1〜2万円もあれば300〜500部は揃えられます。
いかがでしたか?なんとなくイメージをつかむことができましたら幸いです。
上記は弁護士の会費などは省略していますがなんとなくイメージする参考になりましたら幸いです。
私たちでは弁護士や法律事務所のホームページ制作,集客関連サービスを提供しています。
これからご開業される方はホームページ制作以外の情報も提供できますのでお気軽にご相談ください。
コメントを残す